キュリー祭式辞(令和2年8月)

令和2年8月4日@町総合文化ホール

2020-08-05

 本日は、「第64回キュリー祭式典」の開催にあたり、ご多忙の中、大勢の皆さまにご出席いただき誠にありがとうございます。町内外の各界代表者さまをはじめ、三朝小・中学校の児童・生徒の皆さんにも出席をいただき、式典が盛大に挙行できますことは、大きな喜びでございます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、ご参加いただきました皆さまに重ねて感謝申し上げます。

 三朝温泉は、1916年(大正5年)に世界屈指のラジウム含有量を有する温泉と認定され、一躍脚光を浴びました。以来、特徴的ともいえる泉質を生かした温泉療法に関する研究が、岡山大学などを中心に進められ、三朝温泉は日本有数の湯治場として、訪れた皆さまの心と体を癒やし続けて参りました。

 今年6月には、岡山大学から譲り受けた旧三朝医療センター分室跡地に、新しいラドン熱気浴施設「すーはー温泉」がオープンしました。「すーはー温泉」と命名されたこの施設は、温泉を吸って吐くという独自のスタイルを表現したもので、ラドン温泉の効果を最大限に生かせる施設として、これからの三朝温泉のまちづくりの拠点となるものと期待を寄せているところです。

 新型コロナウイルス感染症の流行は収まる気配がみられませんが、以前からストレスの軽減や免疫力のアップが病気の予防に効果的と言われておりますので、三朝温泉のラドンの力が私たちの健康を守ってくれることにならないかと願うところでもあります。

 また、昨年秋には「温泉を活用した健康づくり全国大会」を本町で開催し、地域資源である温泉を広く心身の健康に活かそうとする全国の温泉地による広域連携をスタートさせました。温泉地の新しいスタイルの滞在を創出することで、更なる発展につなげていきたいと思っております。

 さて、キュリー祭は、ラジウム温泉の恩恵と、ラジウムの発見者マリー・キュリー博士の遺徳に感謝する祭典として、1951年(昭和26年)に開催して以来、今回で64回を迎えました。このキュリー祭をきっかけに始まった、南フランスの温泉地ラマルー・レ・バン町との交流は、中学生をはじめ、多くの町民間の交流へと発展し、今年で30周年の節目を迎えました。これを記念して、日本とフランス、それぞれの町で相互交流事業を行うよう計画していましたが、今年はそれが叶わず、来年以降に持ち越したところです。

 しかしながら、交流の歩みは止めることなく、ラマルー・レ・バン町でも新型コロナウイルスの影響を受けていると聞いた三朝中学校の生徒たちが中心となって手作りマスクを贈る取組みを始め、それが町民へと広がり、1,000枚を超えるマスクをラマルー・レ・バン町へ贈ることができました。

 ラマルー・レ・バンの町民からは、「30年の最高の記念だと思います。記念行事はどこでも誰でもできますが、自発的な友情の表現は、長く続く交流の成果だと思います」といったメッセージもいただきました。今後もこの小さな町同士の友好の絆をさらに深めて、日本とフランスの交流に寄与して参りたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、わが国の経済情勢が安定を欠く中で、観光を取り巻く情勢も様変わりし、克服すべき多くの課題を抱えている現状にあります。このような情勢の中で、私たちは一丸となって、先輩諸氏が先見性とたゆまぬ努力によって築いてこられた三朝町を更に発展させなければなりません。特に、日本遺産である三朝温泉と三徳山、豊かな緑の大地など保有する資源に磨きをかけ、輝きのある観光地づくりに、全力で取り組む所存であります。

 本日ご臨席を賜りました、ご来賓の皆さまにおかれましては、今後ますますのご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに、フランス国の益々のご繁栄と、ご臨席を賜りました皆さまのご健勝を祈念し、ご挨拶といたします。

キュリー祭式辞① キュリー祭式辞②

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