単独でのまちづくりに挑む県下9つの自治体は、知恵を絞り、汗をかきながら、日夜新しいまちづくりに向けて奔走しています。これらの市町村で構成する「自立を目指す市町村元気サミット」が今年も9月1日、平井知事を招き、智頭町総合センターで開催されました。 
 今回のテーマは「地域の活性化と住民自治のあり方」。自立に不可欠な「地域内分権」の推進やそれを裏付ける「新たなルールづくり」への挑戦、さらには「柔軟な財政的支援策」の実施など、各自治体は、住民を巻き込んだ”総力戦“での生き残りを目指しています。サミットで取り上げられた各自治体の取り組みや首長の熱いメッセージをご紹介します。

●境港市

住民による行政参加の手法を定めた「みんなでまちづくり条例」を制定。会議の公開、委員の公募、政策に対する意見募集(パブリックコメント)、政策提案制度などが盛り込まれる。
 安倍和海 副市長@
「これからのまちづくりに大事なことは、地域と行政が『ガチャガチャ』やりながら、なんでも話し合うことです」

●日南町
 新しい「人づくり、組織づくり、まちづくり」活動の三本柱として住民学習・経済振興・自治振興を掲げ、その拠点として地域振興センターを開設。専任職員(事務長)を配置した。
 矢田治美 町長A
「それぞれの地域でやらにゃぁいけん。自分たちの町(地域)は自分たちで守ること。夢のある町づくりに頑張っていきたい」

●日野町
 平成17年9月に「財政赤字が見込まれる」としてギブアップ宣言。ゼロからのスタートを強調し、新たに「まちづくり町民会議」を開設。町民が主体となって取り組む観光・特産品振興が芽生えつつある。
 景山享弘 町長B
「町づくりは人まかせではいけない。自分たちでできることは自分たちで取り組む。その気持ちにならないと財政再建はできない」

●江府町
 県下で人口が最も少ない町。小さくても元気で明るい町を目指す。住民自治の基本として活動の拠点となる集会施設を全集落に建設。健康対策を重要施策として掲げる。
 竹内敏朗 町長C
「健康なくして町の活性化なし。住民への情報公開と情報収集に努め、住民の皆さんと同じ目線で同じ方向を向いていくことが大切」

●日吉津村
 自治会ごとに自立に向けた取り組みを検討し「コミュニティ計画」としてまとめる。課題を見つけ、自ら取り組む地域づくり計画と位置付ける。
 新しく村づくり講座を開講し、自立に向けた新しい視点での学習を促す。
 石 操 村長D
「村づくりは人づくり。人材のレベルアップが必要。村民は楽しく暮らしていける村を望んでいる」

●三朝町
 平成18年4月に「三朝町地域の総合力を高め、自立を促進する条例」を制定。機構改革により公民館を町長部局へ移し、総合的な地域づくりを展開中。地域づくりの拠点・主体として地域協議会による活動がスタート。
 吉田秀光 町長E
「『わが町は素晴らしい』という話を一時間でも二時間でもできるような町民をたくさん作っていきたい」

●岩美町
 平成16年度に住民自らが企画・審査を行う「わがまちづくり交付金」を創設。また平成19年度から「わがまちづくり貸付金」、UIJターン推進事業を実施し、自主活動と賑わいづくりに取り組む。
 榎本武利 町長F
「合併をしなかった町が肩見の狭い思いをせず、連携して頑張りたい。町民と職員が自信と誇りを持ちながら、まちづくりに挑む」

●若桜町
 歴史と文化を継承し、観光資源としての活用を進める。住民主体の観光地づくりで不動院岩屋堂や若桜駅SL保存会などが成果を上げている。
 小林昌司 町長G
「財政は厳しいが、トップの私が夢を持たないといけない。頑張っていきます」

●智頭町
 10年前から地域経営と住民自治の先駆け的な取り組みとして「ゼロ分のイチ村おこし運動」を展開。集落単位から地域単位へと展開を模索する。「町づくりは人づくり」を基本に町づくりリーダーの育成に力を注ぐ。平成18年「いきいき人づくり塾」を開講。
 織田 洋 町長H
「智頭町は、過去も現在も未来も素晴らしいまち。住民と行政がこの共通の認識の持てる町にするために、一緒になって頑張っていきたい」
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 いずれの自治体も様々な視点でわが町を見つめ、”単独“のまちづくりに向けて盛り上がっています。その成功の鍵は、平井知事の基調講演での言葉を借りれば「まち(地域)の元気をどう出していくのか」であり、そのためには、住民と行政が力を合わせて、同じ方向に向かうことが求められます。そのためには地域協議会や各種ボランティア活動などを通じて住民と行政の活発な意見交換が期待されます。